地域の小規模商工事業所の経営を支援する小松商工会議所の活用方法を紹介

2013.06.05 小松商工会議所様

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「より多くの事業所の経営を支えたい」支援先事業所すべての会計システムを切り替え自計化を促進。新たな支援先拡大へ。

小松商工会議所 中小企業相談所の皆様
小松商工会議所 中小企業相談所の皆様

小松商工会議所(所在:石川県小松市)は、「愛される商工会議所」を目指し、地域内事業所に対する経営支援と地域の活性化に取り組んでいます。今回、経営支援サービスの一つとして個人事業主を対象に行っている記帳支援事業を通じた個人事業主の経営力向上と支援先事業所数の拡大を目的として、会計クラウドを活用することを決定。事業所のニーズに応じた新たなサービスを展開することで、地域内事業所の経営支援の強化に取り組んでいます。

導入背景と狙い

支援先事業所の経営力向上と支援先事業所数の拡大を両立する手段として、
クラウド型の青色申告ソフト「ネットde青色申告®」の活用を決断。

 小松商工会議所は、地域内事業所に対して経営指導員による経営・融資相談、記帳支援などのサービスを提供しています。
記帳支援サービスとして、これまで窓口での記帳相談とパッケージ型の会計ソフトを活用した記帳代行の2つのサービスを展開していました。

 小松商工会議所は、各事業主の経営力向上に、自ら帳簿を作成し(自計化)、自社のお金の流れやコスト構造に対する認識を高めることが有効な施策であると従前より考えていました。
 しかし、パッケージ型の会計ソフトでは経営指導員と事業主の間でデータの共有に手間がかかり、自計化への移行過程で、最も重要となる適時適切なアドバイスの実施が困難であることから、経営指導員6名で他の業務と兼務しながら自計化を推進するのは現実的で無いと判断し、記帳代行を支援の中心に据えていました。
 一方、昨今の支援先数の増加に伴い、今後、新たに支援を要望する事業所のニーズに応えきれなくなる可能性を見据え、記帳支援の推進方法を再検討する必要にも迫られていました。

 そんな中、会計クラウドで、商工会議所と事業主の双方で円滑にデータを共有しコミュニケーションをとれる環境を構築できることを知りました。
 そこで、自ら記帳することを希望する事業所に対して、会計クラウドを活用した自計化支援と記帳相談を記帳支援サービスの中心に据える方針を打ち出し、クラウド型の青色申告ソフトであるネットde青色申告の活用を決定しました。

導入の経緯

1年間のテスト導入で自計希望の9社すべての自計化に成功しクラウドの有効性を実感、
最終的に45社すべてをネットde青色申告®に切り替え。

小松商工会議所 吉田氏
小松商工会議所 吉田氏

 自計化支援強化の方針に基づき、小松商工会議所は2010年秋からクラウド型の青色申告ソフトの活用に向けた検討を開始しました。当時、中小企業相談所経営支援課課長補佐を担った吉田氏は、「記帳代行を行なっている事業所の中にも、本当は自分で記帳をやりたい事業所もあれば、記帳できる事業所もあると思った。商工会議所は、地域の事業所からのニーズに対し、新たなITサービスを活用することで経営を支援できる仕組みを作ることもあるべき姿ではないか。」と語っています。

 そこで、2011年に自計化したいと考えている事業所を限定募集し、「ネットde青色申告」を使って日常の記帳指導から青色申告決算書の作成支援までを行なうテスト導入を実施しました。

「この結果、チャレンジした9社すべての自計化に道筋をつけることができ、会員事業所の記帳支援にネットde青色申告の活用が有効であると確認できました。」(前出:吉田氏)

 これを受け、小松商工会議所は2012年4月から記帳代行を行なっている分も含む45事業所すべての会計システムを「ネットde青色申告®」に切り替えました。

 「ネットde青色申告®」に決めるにあたり、サービスやデータの安全性も考慮に入れたそうです。
「ネットde青色申告®を選定する上で、機能や操作性だけでなく、導入実績、開発・運用およびセキュリテイ体制も重視しました。クラウドサービスを利用する以上、システムの安定性およびデータの安全性は運用会社に委託することになります。私たちは先だっての東日本大震災におけるデータの消失、他のクラウドサービスでのデータ消失事故などを見てきて、データの安全性も考えなければいけないことを痛感しました。会員事業所にとって安心して利用できるサービスを選定し、それを提案していくことも商工会議所の役目だと思います。」(経営支援課:山上氏)

ネットde青色申告を活用した記帳支援

付箋機能を活用することで、夜間や土日でも事業主の質問を受けられる新しい記帳支援を実現。

 小松商工会議所は、自社で記帳を始める事業所について、すぐに利用することができるよう初期の設定を行ない、その後、会員事業所の入力する日々のデータを定期的にチェックする方法で指導を行なっています。

 データのチェックにあたり、事業主と商工会議所は、双方でリアルタイムにネットde青色申告に登録された会計データを共有し、離れた場所からも同時に確認することもできます。

(データ共有による記帳指導イメージ)
データ共有による記帳指導イメージ

 小松商工会議所は、これまで記帳代行をしていた事業所の自計化を実現できた理由として、「データのリアルタイム共有」というクラウドならではの特長をあげています。

小松商工会議所 山上氏
小松商工会議所 山上氏

 会員事業所は『ネットde青色申告®』を使うことにより、自分で入力したデータを当商工会議所の経営指導員とリアルタイムに共有できるようになったことで、記帳する中で『勘定科目は何を使えばいいのか?』といった疑問も付箋機能を使って気軽に質問できます。このため、大半の事業者は3か月程度入力すると、ほとんど自分で処理できるようになっています。」(経営支援課 山上氏)

 付箋機能とは、伝票単位で質問のやりとりを行なうことができるコミュニケーション機能を備えたネットde青色申告の機能の一つです。

 事業主は、毎月の売上や支払データをネットde青色申告に入力しながら、仕訳で不明な部分を「付箋機能」を使って質問します。

商工会議所の担当者は、事業主からの質問を確認し、付箋の色を変更して回答を行なうことで、オンライン上でいつでも記帳サポートできます。

(付箋機能による記帳支援のイメージ)
付箋機能による記帳支援のイメージ

 この付箋機能により、事業主は夜間や土日でも質問できるため日中は本業に専念できるとともに、商工会議所は、クラウドを活用することでオンライン上で行なう新たな形の記帳支援サポートを会員事業所に提供できるようになりました。

導入後の効果

わずか3か月で会員事業所の自計化に成功
自計化した経営者の売上やコスト構造に対する認識に変化。

 小松商工会議所には、事業者から、「自社で入力を始めた当初、勘定科目や入力方法に不安があったが、いつでも最新のデータを経営指導員の方にチェックしてもらえることで、次第に自分で記帳することに自信がつくとともに、コストの内容について少しずつ認識するようになった」という期待どおりの成果を示す声が寄せられているそうです。

 「自社の状況を数字で把握することは経営力を向上させるための改善を進める上で非常に重要。その点、自計化を進めることで自社の数字を把握するようになると、経営指導のポイントを共有しやすくなり、結果として事業所の経営にも良い結果をもたらすと考えています」(前出:吉田氏)

 一方、商工会議所でも、事業所の自計化を支援することで、経営指導員全体の記帳相談にかかる時間を短縮でき、新たに創業する個人事業主のサポートや記帳指導を積極的に受け入れる体制を整えつつあるそうです。

 2011年のテスト導入時から「ネットde青色申告」を使っている経営指導員の川島氏は、時代を追うごとに便利になっていく会計ソフトのおかげで、商工会議所の記帳サポート業務もどんどん効率的にできるようになっていることを実感しているそうです。

 「テスト導入を行なったとき、自計化を開始した直後の1~2か月は事業所からの質問を多くいただきましたが、次第に慣れてくると質問自体は少なくなり、申告直前に集中してサポートを行なう形になりました。
 経営指導員として会員事業所の記帳業務に関わっていますが、帳簿作成が手書きからオンプレミスのシステムに代わったとき、自動で計算してくれるシステムに感動しました。つづく安価なパッケージソフトの登場で、地域の小規模事業所でも会計ソフトを導入できるようになりました。さらに商工会議所が会員事業所とリアルタイムにデータを共有できるなんて夢みたいだけど、時代の流れなのでしょうね。
 これなら今まで記帳代行に頼っていた会員事業所でも自分のところで経理業務をできるようになり、私たちの記帳支援業務も効率よくなることで、商工会議所全体として、自計化に意欲のある事業者をさらに積極的に支援できるようになります。」(前出:川島氏)

今後の抱負

質の高い経営支援を通じて、地域の事業所から「愛される商工会議所」を目指す。

小松商工会議所 河原氏
小松商工会議所 河原氏

 「重要なのは、地域の事業所の発展のために商工会議所として何を提供できるか、という点です。」と語るのは現経営支援課長の河原氏。

 「記帳支援業務にクラウドを活用することで、これまで以上に地域事業所にとって役立つ経営支援を提供できる商工会議所になれると期待しています。また自計化を進め、支援する経営者自身の数字に対する意識を高めることで、我々の経営面でのアドバイスをより活かしていただけるようになると思います。さらに、経営指導員の業務も効率化できることで、これまで満足のいくサポートをすることのできなかった新たな事業所に対しても記帳代行や記帳相談が可能になると思います。今は記帳指導を中心としてネットde青色申告を活用していますが、今後は経営分析資料なども活用した経営指導を実施し、より多くの会員事業所の経営を支えることのできる商工会議所であり続けたいと考えています。」(前出:河原氏)

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組織名小松商工会議所
代表者会頭 和田 衞
所在地〒923-8566石川県小松市園町ニ1
事業内容商業・工業の振興、経営・金融相談、経理サポート、観光振興、検定試験等
Webサイト小松商工会議所
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